英語は発音がシビア
例文1 ✅日本語訳と英文
・私は「船」に乗った。 → I got on a ship.
・私は「羊」に乗った。 → I got on a sheep.
🔊ネイティブに近いカタカナ表記
・ship → シップ
・sheep → シープ
🔍発音のポイントは?
・/ɪ/(短いイ)と /iː/(長いイ)の違いを混同
🔍意味の違いは?
・船と羊で全く別物になる
🔍本当はどう発音すればいいのか
・ship → 短く「イ」と発音
・sheep → 口を横に引いて長く「イー」
🔍どんな発音がいけないかの説明
・/ɪ/ と /iː/ の混同:
日本語の「イ」は基本1種類なので、/ɪ/(短くてゆるいイ)を /iː/(長くて緊張したイ)で言ってしまい、ship → sheep になりがち。
・長さだけで区別しようとする:
/iː/ は長さ+音質(舌の位置・筋緊張)がセット。短く言った sheep が ship に近づくことも。長さだけで判断しないのがポイント。
・舌の高さ・前後位置のズレ:
/ɪ/ は 高め前寄りだけど少し中央寄り、/iː/ は より高く前寄り。/ɪ/ を前に出しすぎると sheep に寄る。
・口の形の出し過ぎ:
/iː/ は口角を強めに横に引きやすいが、/ɪ/ は控えめ。/ɪ/ で口角を引きすぎると sheep に聞こえやすい。
・/ʃ/ の日本語化:
「shi(し)」の [ɕi] になってしまい、先に イ母音 がにじみ出ると「シー…」っぽくなり sheep 化を加速。英語の /ʃ/ は唇をやや丸める後部寄りの摩擦音。
・語尾 /p/ の処理:
/p/ を強く破裂しすぎたり「シップゥ」と母音を足す(語尾に u を足す)と不自然。軽く閉じて無声で止める(アンリリース)ことが多い。
・子音長に逃げる:
シップの「ッ」や pp を強調しても、核は母音コントラスト。子音を伸ばしても誤解は解けない。
・後続無声子音による短縮を無視:
英語は無声子音(/p/ など)の前では母音が短くなりやすい。sheep でも /p/ の影響で極端に長くはならない。だから**音質(/iː/ の緊張感)**がより重要。
・アクセントの位置を外す:
単音節語は語全体に強勢。子音ばかりに力が入り、母音が曖昧になると区別が崩れる。
・文脈のリンキングで曖昧化:
「on a ship / on a sheep」は on_a が弱化して [ɒnə] / [ənə] っぽくなる。前後が弱くなるぶん、ship/sheep 本体の母音が決定打。
🔍意味がどうなる?
・ship(船)と sheep(羊)は語彙的に無関係。/ɪ/→/iː/ に寄るだけで、「船に乗った」→「羊に乗った」という極端な誤解が生じうる。
・旅行・仕事・安全確認のやり取りで致命的な伝達ミスになりやすい。
🔍本当はどう発音すればいいのか
・母音の核を作る練習(質+長さ)
・ship /ʃɪp/ → /ɪ/:短く・力みを抜く。舌は高め前寄りだがやや中央寄り、口角は軽く。
・sheep /ʃiːp/ → /iː/:やや長く・締まりを持たせる。舌は高く前、口角はしっかり横。
・口・舌・息・声の目安
・舌:/ɪ/ は少し下げ気味、/iː/ はもっと高く前へ。
・口:/ɪ/ は薄い笑顔、/iː/ は明確に横へ。
・息:/ʃ/ は連続摩擦、母音でなめらかに流す。/p/ でスッと止める(余計な母音を足さない)。
・声:/iː/ の方が筋緊張(張り)を感じる。/ɪ/ は力を抜く。
・段階練習
1)単語:sit–seat, live–leave, fill–feel で /ɪ/ ↔ /iː/ を往復。
2)最小ペア:ship–sheep を等速・等リズムで交互に10回。
3)文内:on a ship / on a sheep を録音→/ɪ/ の時は短く、/iː/ の時は張って。
4)語尾 /p/:sheep の /p/ は軽く閉じて止める(爆発させない、母音を足さない)。
・セルフチェック
・鏡で口角の横方向(/iː/)と控えめ(/ɪ/)の差が見えるか。
・/iː/ を出した直後、舌先が前上に張り付いていないかを確認。
・録音を波形で見ると、/iː/ のほうがわずかに長い母音核になっているはず。
・よくある日本語由来のクセ対策
・「シープ」の先にイが漏れる→ /ʃ/ を唇やや丸めで先に作り、その後母音へ。
・語尾に「ウ」が付く → /p/ は息止めで終える(無声で閉じて終わり)。
・/ɪ/ が全部 /i/ になる → /ɪ/ は短く・薄い笑顔・力み無しを合言葉に。
例文2 ✅日本語訳と英文
・彼は「座った」 → He sat down.
・(通常は)彼は「〜を置いた」 → He set down (the bag).
※「彼は座っていた」は He was sitting./「腰を下ろした」は He sat down.
※ set down を「座る」の意味で使うのは一部方言・古風表現(“Set yourself down.” など)で、日常の標準英語では避けるのが無難。
🔊ネイティブに近いカタカナ表記
・sat down → サ(ァ)ト ダウン /sæʔ daʊn/(/t/ はしばしば小さく詰まる)
・set down → セ(ッ)ト ダウン /sɛʔ daʊn/
🔍発音のポイントは?
・/æ/(アに近い短いエ)と /e/ の区別が曖昧
🔍意味の違いは?
・過去形の「座った」と「置いた」で意味が変わる
🔍本当はどう発音すればいいのか
・sat → 口を大きく開いて「サ」
・set → 口を少し横にして「セ」
🔍どんな発音がまずいかの説明
・/æ/ と /ɛ/ の混同:
- /æ/(TRAP:sat)は口を縦に大きく開け、アとエの中間。舌は低め前寄り。
- /ɛ/(DRESS:set)は口を中くらいに開けた明確なエ。舌は中高さの前。
- 日本語の「エ/ア」で置き換えると差が消え、sat ↔ set を取り違えやすい。
・長さで区別しようとする:
- どちらも語末が無声 /t/ なので母音は短くなりがち。質(口の開き・舌位置)で区別するのが本質。
- /t/ の処理:英語の /t/ は語中・語境界で小さく弾く/喉で止める([ʔ])などの弱い実現が多い。「ツ」や母音(ウ)を足さない。
・連結で曖昧化:
sat down / set down は t+d が隣接するため
- [ʔ d](t が喉で止まり、続く d に乗る)、
- あるいは [t d] → 同所化して軽い [d] 風 になることも。
- 母音コントラストがより決定的になる。
- 日本語の「セ」「サ」固定:カタカナに引っ張られ、「セ」「サ」を先に決めてしまうと英語母音の微妙な位置が出にくい。
🔍意味がどうなる?
- sat down:自分が座る(不及物)。
- set down:物を置く(多くは目的語が必要:set the bag down)。
- 母音の違いひとつで「座った」vs「置いた」で意味が全く別。He set down. とだけ言うと文脈なしでは不自然・誤解のもと。
🔍本当はどう発音すればいいのか
母音づくり(質重視)
- sat /sæ t/:あごをしっかり下げ、口腔を広く。「アェ」とならない平らな“ア寄り”。舌は低く前へ。
- set /sɛ t/:あごは中程度、明確なエ。舌は中高さ前で平たい。
・子音と連結
- /s/ は日本語より歯の近くで鋭く。
- /t/ は down の /d/ と連続するので、軽い glottal stop [ʔ] で止め→/d/ に移るか、きれいな [t] を作ってすぐ /d/ へ。「トゥ」や「ツ」を入れない。
- モデル例:sat down → [sæʔ daʊn]、set down → [sɛʔ daʊn]。
ミラー&録音チェック
- sat のほうが口が大きく縦、set は控えめ。鏡で差が見えるか確認。
- 自分の録音で、母音核のスペクトル(音色)がはっきり違うか(長さではなく色)。
・練習ルート
1)単語最小ペア:sat–set, mad–med, bad–bed, hat–het を等テンポで交互に。
2)フレーズ:He sat down. / He set the bag down. を交互に10回。
3)連結フォーカス:sat_down / set_down を [ʔ d] パターンで練習(止めて→濁音)。
・よくあるNG対策
- 「サット/セット」で済ませない:口の開きと舌位置を最初に決めてから /s/ を乗せる。
- 語尾に母音を足さない:sat = サ(ァ)ト(無声で終える)、set = セ(ッ)ト。
- 意味の確認:set down は目的語を置き忘れない(set it down / set the box down)。
例文3 ✅日本語訳と英文
・彼は「ペン」を持っている → He has a pen.
・彼は「パン(フライパン)」を持っている → He has a pan.
🔊ネイティブに近いカタカナ表記
・pen → ペン (/pɛn/)
・pan → パン (/pæn/)
🔍発音のポイントは?
・/e/ と /æ/ を区別しないと混乱
🔍意味の違いは?
・筆記具とフライパンの違いになる
🔍本当はどう発音すればいいのか
・pen → 唇を横に引いて短い「エ」
・pan → 大きく口を開いて「ア」
🔍どんな発音がまずいかの説明
・/ɛ/(エ)と /æ/(アに近いエ)の混同:
- /ɛ/(DRESS:pen)は中程度の開きではっきりエ。
- /æ/(TRAP:pan)はあごを大きく下げる、ア寄りのエ(「エ」と「ア」の中間)。
→ 日本語の「エ/ア」だけで置き換えると差が消えやすい。
・あごの開き不足:
/æ/ はしっかり縦に開く。開きが足りないと pan が pen に聞こえる。
・舌位置のズレ:
- /ɛ/ は中高さ・前で平たい。
– /æ/ は低く・前で分厚い感じ。前に突き出す意識を。
・長さで区別しようとする:
どちらも語末の /n/ で母音は短くなりがち。質(口の開き・舌位置)が決め手。
・語末 /n/ に母音を足す:
「ペンヌ」「パンヌ」のように余計な母音(u, o)をつけると不自然。
・/p/ の破裂の入れすぎ/足りなさ:英語の語頭 /p/ はしっかり息が出る(小さな「フッ」)。弱すぎると /b/ っぽく、強すぎるとペに余計な母音が混じる。
・弱形の誤処理(連結):
has a pen/pan は has a → ハザ、a pen/pan → アペン/アパン へ連結。母音の質が一層勝負。
🔍意味がどうなる?
・pen:筆記具。
・pan:フライパン・鍋。
→ /ɛ/ ↔ /æ/ の違いだけで持ち物が別物に。料理シーンや買い物、空港の手荷物などで誤解が起きやすい。
🔍本当はどう発音すればいいのか
・口と舌の「型」
- pen /pɛn/:口は中くらいの開き、はっきりエ。舌は中高さ・前で平ら。
- pan /pæn/:口はしっかり縦に開く(鏡で下の歯が見えるくらい)。舌は低く・前へ押し出し分厚い形。
・子音の扱い
- /p/:唇を密閉→一気に息を解放(無声の破裂)。直後に母音へ、余計な「ウ」を挟まない。
- /n/:舌先を上の歯茎(アルベオラ)に軽く当て、鼻へ抜く。m(唇)や ŋ(ング)にならないよう注意。
・連結のコツ
- has a → [hæzə](ハザ)
- a pen / a pan → [ə pɛn](アペン)/[ə pæn](アパン)
→ 連結しても母音の型(/ɛ/ vs /æ/)を崩さない。
・セルフチェック
- 鏡で pan のほうが明らかに縦開きになっているか?
- 録音で pen と pan を交互に10回。音色(明るさ)とあごの開きの差が出ているか確認。
・練習レシピ
1)最小ペア:pen–pan, bed–bad, men–man, send–sand, lend–land を等テンポで。
2)フレーズ:He has a pen. / He has a pan. を交互に(ゆっくり→普通→速く)。
3)語頭 /p/ ドリル:pa–pe–pi–po–pu を母音に余計な子音を混ぜずクリアに。
4)語末 /n/ ドリル:pen, pan を無音で終える(「ンヌ」にしない)。
例文4 ✅日本語訳と英文
・私は「バス」に乗った → I took a bus.
・私は「バズ(蜂の羽音)」を聞いた → I heard a buzz.
🔊ネイティブに近いカタカナ表記
・bus → バス
・buzz → バズ
🔍発音のポイントは?
・/s/ と /z/ の区別
🔍意味の違いは?
・乗り物と音の違い
🔍本当はどう発音すればいいのか
・bus → 息だけの「ス」
・buzz → 声帯を震わせて「ズ」
例文5 ✅日本語訳と英文
・彼は「左」に行った → He went to the left.
・彼は「盗んだ」 → He theft (過去形 → stole).
🔊ネイティブに近いカタカナ表記
・left → レフト
・theft → セフト
🔍発音のポイントは?
・/l/ と /θ/ の違いを混同
🔍意味の違いは?
・方向と犯罪で大違い
🔍本当はどう発音すればいいのか
・left → 舌先を歯茎につける
・theft → 舌を歯に軽く挟んでスー
例文6 ✅日本語訳と英文
・私は「氷」を食べた → I ate some ice.
・私は「目」を食べた(意味不明!) → I ate some eyes.
🔊ネイティブに近いカタカナ表記
・ice → アイス
・eyes → アイズ
🔍発音のポイントは?
・/s/ と /z/ の区別
🔍意味がどうなる?
・氷と眼球で大変な誤解
🔍本当はどう発音すればいいのか
・ice → 息だけの「ス」
・eyes → 濁らせて「ズ」
例文7 ✅日本語訳と英文
・私は「寝る」 → I go to bed.
・私は「悪くなる」 → I go to bad.
🔊ネイティブに近いカタカナ表記
・bed → ベッド
・bad → バッド
🔍発音のポイントは?
・/e/ と /æ/ の区別
🔍意味がどうなる?
・寝室に行くのか、不良になるのかで混乱
🔍本当はどう発音すればいいのか
・bed → 短い「エ」
・bad → 口を縦に大きく開いて「ア」
例文8 ✅日本語訳と英文
・彼は「帽子」を持っている → He has a cap.
・彼は「タクシー」を呼んだ → He called a cab.
🔊ネイティブに近いカタカナ表記
・cap → キャップ
・cab → キャブ
🔍発音のポイントは?
・/p/(破裂音)と /b/(有声音)の違い
🔍意味がどうなる?
・帽子とタクシーの違い
🔍本当はどう発音すればいいのか
・cap → 息を強く破裂させる
・cab → 声帯を震わせて「ブ」
例文9 ✅日本語訳と英文
・「リーダー」が必要だ → We need a leader.
・「はしご」が必要だ → We need a ladder.
🔊ネイティブに近いカタカナ表記
・leader → リーダー
・ladder → ラダー
🔍発音のポイントは?
・/iː/(長いイ)と /æ/(ア)を混同
🔍意味がどうなる?
・人か道具かで全く違う
🔍本当はどう発音すればいいのか
・leader → 長く「イー」
・ladder → 大きく「ア」
例文10 ✅日本語訳と英文
・彼は「暑い」 → He feels hot.
・彼は「憎んでいる」 → He feels hate.
🔊ネイティブに近いカタカナ表記
・hot → ホット
・hate → ヘイト
🔍発音のポイントは?
・/ɒ/(オに近いア)と /eɪ/(エイ)の区別
🔍意味がどうなる?
・温度と感情で大きく違う
🔍本当はどう発音すればいいのか
・hot → 短く開くオに近い音
・hate → 「エイ」と長く伸ばす
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