カントリーロードのWest Virginiaの発音
「カントリーロード(Take Me Home, Country Roads)」の歌詞中の “West Virginia” が「ウェストジニア」と聞こえるのは、**英語の自然な発音の特徴(リエゾンや省略、弱化)**によるものです。
この現象を詳しく解説し、同じように発音が変化する他の部分についても例を挙げて説明します。
🗣「West Virginia」が「ウェストジニア」と聞こえる理由
🔹1. リエゾン(連結)
英語では、単語の終わりの音と次の単語の始まりの音がつながって発音されることがあります。これを **「リエゾン」**と呼びます。
- “West Virginia” は、
- West(ウェスト)+ Virginia(ヴァージニア)
- で分かれていますが、
- 会話や歌の中では、“West” の [t] と “Virginia” の [v] の間がつながります。
📌 ただし “t” の音は、アメリカ英語では**「フラップ音(タップ音)」**と呼ばれる、舌を軽くはじくような音に変わることがよくあります。日本語で言う「ラ行」に近い音です。
なので:
West Virginia → ウェス・ヴァージニア → ウェスダジニア → ウェスラジニア → ウェスジニア
→ ウェストジニア(t の音が非常に弱く、つながって聞こえる)
→ ウェスジニア、またはウェストジニア
つまり、「t」がほとんど聞こえなくなったり、音がつながったりして、「ウェストジニア」と聞こえるのです。
🎵「カントリーロード」の他の発音の変化(省略・連結)例
① 「Take Me Home」 → 「テイミーホーム」
- “Take me” の部分で、“k” と “m” の音がつながり、”Take me” →「テイクミー」→「テイミー」のように聞こえます。
- 弱音化で “me” がはっきり発音されず、「ミー」ではなく「ミ」に近くなる。
🔹 英語の歌では、文法的には存在するけど、自然なリズムのために音が省略されたりします。
② 「All my memories」 → 「オールマイメモリーズ」→「オーメモリーズ」
- “All my” の “l” と “m” が滑らかにつながり、”all my” の “my” の母音が弱化(シュワ音化)する。
- “All my memories” → 「オールマイメモリーズ」→「オーメモリーズ」と短縮されて聞こえることもあります。
③ 「Radio reminds me」→「レイディオ リマインズミー」→「レイジョリマインズミー」
- “Radio” の最後の音と “reminds” の r が近いため、速く歌うと **”radio reminds” が「レイジョリマインズ」**のように聞こえることがあります。
- 子音の連結、母音の省略、リズムの都合で音が「縮まる」現象。
④ 「Country roads」
- 書き言葉:カントリー・ローズ
- 実際の発音:カンチュリーローズ に近い
→ 「country」の「t」が弱まり、「ch」に近い音になる(t + rの影響)
→ これは「t」がrに挟まれると「ch」のように聞こえる典型的な例
💡まとめ:発音変化の主な理由
現象 | 説明 | 例 |
---|---|---|
リエゾン | 単語のつながりで音が連結する | West Virginia → ウェストジニア |
弱音化 | 強くない単語(冠詞・代名詞など)の母音があいまいになる | Take me → テイミー |
省略・脱落 | 歌のリズムやスピードのため、音が抜ける | All my memories → オーメモリーズ |
フラップ音 | T や D の音がラ行っぽくなる | Better → ベラー、Water → ワラー |
🎧 英語の歌を聞き取るコツ
- 歌詞を見ながら聞く:リエゾンや省略を確認しやすくなります。
- 実際の会話と比べる:歌は特にリズムの影響で音が変わりやすい。
- フレーズ単位で覚える:文法よりも、音の流れで理解する。
🔚おわりに
「ウェストジニア」と聞こえるのは、英語の自然な発音変化の結果です。英語の歌ではこのような変化がたくさん起きていて、慣れてくるとだんだん聞き取れるようになります。
英語の自然な会話の中でよく起こるリエゾン(連結)やリンキング(つながり)、弱音化、省略などの例を、短い文章で発音の変化を詳しく説明します。
✅【リエゾン/リンキングが起こる短い会話文 10選】
① What are you doing?
- 🔤 正常:ワット アー ユー ドゥーイング?
- 🎧 実際:ワタユードゥイン?
- 🔍 解説:
- “What are” → 「ワタ」:Tがフラップ音になり、”what”のtが弱くなる。
- “you doing” → 「ユードゥイン」:”you”と”doing”がつながる。
- T+母音や、子音+母音の間では音がスムーズにつながる。
② Did you eat yet?
- 🔤 正常:ディッド ユー イート イェット?
- 🎧 実際:ヂュウイッチェッ?
- 🔍 解説:
- “Did you” → 「ヂュ」:”did”と”you”がつながり、”d”と”y”が融合して”j”音に。
- “eat yet” → 「イッチェッ」:”t”と”y”のリンキング。
③ Don’t you know?
- 🔤 正常:ドント ユー ノウ?
- 🎧 実際:ドンチャノウ?
- 🔍 解説:
- “Don’t you” → 「ドンチャ」:”t”と”you”がつながり、「チャ」になる(t + y = ch)。
- この音変化は口語の特徴で、日常会話で非常によく使われます。
④ Let me see.
- 🔤 正常:レット ミー シー
- 🎧 実際:レミーシー
- 🔍 解説:
- “Let me” → 「レミー」:”t”音が弱化し、”me”に滑らかにつながる。
- 「Let me」が縮まって**”lemme”**のように聞こえることも。
⑤ Give me that.
- 🔤 正常:ギブ ミー ザット
- 🎧 実際:ギミーダッ
- 🔍 解説:
- “Give me” → 「ギミー」:”give”と”me”がつながり、”e”が弱音化。
- “that” の “th” は脱落して「ダッ」に近くなることも。
⑥ I don’t know.
- 🔤 正常:アイ ドント ノウ
- 🎧 実際:アダノウ / アドゥノウ
- 🔍 解説:
- “don’t” の “t” が弱まり、”I don’t know” がつながって聞こえる。
- 早口では「アナノウ」にも近くなる。
- よくスラングで “I dunno” とも書かれる。
⑦ Could you help me?
- 🔤 正常:クッド ユー ヘルプ ミー?
- 🎧 実際:クヂュヘルプミー?
- 🔍 解説:
- “Could you” → 「クヂュ」:”d” と “y” がつながって “j” 音に。
- よく “Couldja” とも表記される発音。
⑧ What did you say?
- 🔤 正常:ワット ディッド ユー セイ?
- 🎧 実際:ワッヂュセイ?
- 🔍 解説:
- “What did you” → 「ワッヂュ」:”did you” で “d”+”y”=”j”音。
- 自然な会話で「ワヂャセイ?」のように聞こえることも。
⑨ I want it.
- 🔤 正常:アイ ウォント イット
- 🎧 実際:アイワニッ
- 🔍 解説:
- “want it” → 「ワニッ」:”t”と”i”が連結し、”t”がフラップ音化(ラ行のような音)。
- “I want it” が “I wanna” に近い発音になることも。
⑩ Where did he go?
- 🔤 正常:ウェア ディッド ヒー ゴー?
- 🎧 実際:ウェァリゴー?
- 🔍 解説:
- “did he” → 「ディディ」→「ディー」→「リ」音に変化。
- d + h のリエゾンで h が弱化、d がラ行音のように聞こえる。
🔎 全体のポイントまとめ
音声変化の種類 | 説明 | 例文内のケース |
---|---|---|
リエゾン(連結) | 単語の境界をまたいで音がつながる | “Give me” → ギミー |
弱音化(脱力) | 母音や子音が弱くなり、聞こえづらくなる | “Let me” → レミー |
フラップ音化 | “t” や “d” が「ラ行」に近い音に変化 | “Want it” → ワニッ |
脱落 | 不要な音が抜け落ちる | “Don’t you” → ドンチャ |
音融合 | 異なる音が混ざって新しい音に変化 | “Did you” → ヂュ |
📘補足
日常英会話ではこうした音声変化が非常に一般的です。リスニング力を上げるには:
- スクリプト付きの会話をシャドーイングする
- ネイティブの発音をマネしてみる
- 実際に口に出して発音のつながりを体で覚える
が効果的です!
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