“英語のしくみ”がわかると伸びが速い

英語のしくみなどを考えて困惑する英語初心者の絵 英語のしくみ

発音・表現・聞き取りを一気に底上げする英語のしくみ

  • 日本語と仕組みが違うために“聞こえない・言えない・分からない”を生む英語の核心制度を、短時間で俯瞰。

1)ミニマルペア(最小対立)

英語は1音違いで意味が変わる言語。この“1音の精度”がリスニングと発音の土台になります。

代表例(子音)

  • light /laɪt/(ライト) vs right /raɪt/(ライト)
     → /l/ は舌先を歯茎の後ろに軽く当てて離す//r/ は舌先を当てず、舌全体を巻き気味に。
  • play /pleɪ/(プレイ) vs pray /preɪ/(プレイ)

代表例(母音)

  • cat /kæt/(キャット) vs cut /kʌt/(カット)
  • ship /ʃɪp/(シップ) vs sheep /ʃiːp/(シープ)

30秒ドリル(Humming→Word)

  1. 母音の長さから:/i/ → /iː/ を鼻歌で伸ばし分け → ship–sheep を1:2の長さ比で。
  2. L/Rは“舌を当てる(L)・当てない(R)”を鏡で確認してから light–right を交互に。

2)イディオム(直訳不可の定型)

It’s raining cats and dogs.(どしゃ降り)
Break a leg!(舞台前に“がんばって!”の吉例)

なぜ重要?

  • イディオムは塊で覚える語彙。直訳検索のクセを捨て、状況=意味の対応で吸収。
  • 会話の自然さ読解速度が上がる。

すぐ使う3つ

  • call it a day(切り上げる)
  • once in a blue moon(ごくまれに)
  • hit the books(猛勉強する)

3)リンキング(単語同士の連結)

英語は子音→母音で自然にくっつく。聞き取りの“壁”の筆頭。

例と耳の持ち替え

  • an apple → /ən æpl/ → 「アナプル」
  • pick it up → /pɪk ɪt ʌp/ → 子音連結で「ピキラップ」
  • next day → /neks deɪ/ → t+d の境で「ネクスデイ

20秒口慣らし

  • 子音で止めずに、息を前に流したまま母音へ
    take‿it / make‿it / do‿it を等速で。

4)リダクション(弱化・省音)

機能語(冠詞・前置詞・代名詞など)が弱く短くなる/省かれ近い音に寄る。

代表パターン

  • want towanna /ˈwɑːnə/(ワナ)
  • going togonna /ˈɡʌnə/(ガナ)
  • got togotta /ˈɡɑːɾə/(ガラ)

聞き取りのコツ

  • 内容語(名・動・形・副)= 強く長く機能語=弱く短くの“強弱地図”を先に描いてから音を追う。

6)フラッピング(/t, d/ がラ行寄り)

米音で母音に挟まれた /t/ /d/ が日本語の軽い「ラ」に近い**/ɾ/**に。

  • better → /ˈbɛɾɚ/(ベラー
  • water → /ˈwɔːɾɚ/(ウォーラー
  • city → /ˈsɪɾi/(スィリ

ストップ音を舌先“タッチ&離す”の超短打に。息は止めすぎない。


7)脱落(エリジョン/連続子音の簡略)

早い会話で /t/ /d/ などが落ちたり、次の子音へ連結。

  • left backlef back(/t/ が薄くなる)
  • next pleaseneks please(/t/ が弱化)
  • friend’s story → 連続 /dzst/ が滑らかに一塊へ

“落とす”のが正解ではなく、**“結果そう聞こえる速さと連結”**が本体。


8)省略形(Contractions)

  • I’m(I am), you’re(you are), he’s(he is/has), we’ve(we have)
  • 自然会話ではほぼ常時。書き言葉でもカジュアル域で頻用。

文の核(内容語)を前に出し、機能語を縮めて流すのが英語のリズム。


9)句動詞(Phrasal Verbs)

動詞+前置詞/副詞一語動詞では言い切れない意味を作る。

  • take off(離陸する/脱ぐ/急に成功する)
  • put up with(我慢する)
  • figure out(理解する・解決法を見つける)

日本語の“漢語一語”感覚より、短い語を組み合わせて意味を精密化するのが英語。


10)連続子音(Consonant Clusters)

日本語に少ない子音の密集が音節を重くする。

  • strengths /streŋkθs/
  • texts /teksts/

先頭の2子音だけをまず正確に出してから、残りを足す“段階足し”が有効(/st/ → /str/ → /stre/ …)。


11)強勢(ストレス)と英語のリズム

英語はストレスタイミング
強勢の位置が意味聞こえ方を支配。

  • I didn’t say he stole the money.stole に強勢:盗んだのは彼だが、言ってはいない)
  • I didn’t say he stole the money.say に強勢:言ってはいない=暗に別表現)

日本語のモーラ(拍)等長とは違い、英語は強勢間隔が一定強い語=長く・高く・大きく


12)“語順”が運ぶ情報(トピックとフォーカス)

  • What do you want?(何が欲しい?)
  • You want what?(今なんて言った?:whatに焦点)
  • It was John who called.(電話したのはジョンだった:It-cleft で焦点提示)

語順は英語の意味装置。日本語の助詞に近い役割を並びが担う。


まとめ:仕組みがわかると“全部が同時に良くなる”

  • 音の制度(ミニマルペア/リンキング/弱化・脱落/フラッピング)
    聞こえる⇄言えるの循環が回る。
  • 語の制度(イディオム/句動詞/省略形)
    自然で速い表現が可能。
  • 文の制度(強勢・語順)
    言いたい所にスポットライトを当てられる。

即効ミニ練習セット(1セット3分)

1) ミニマルペア10回交互(30秒)

  • light–right / cat–cut / ship–sheep
    口形を大げさにして差を誇張 → 徐々に自然サイズへ。

2) 連結4連(30秒)

  • take‿it / make‿it / do‿it / get‿it
    → 息を止めない。子音の“尾→次語の頭母音”へ一息で

3) 弱化シャドーイング(60秒)

  • I’m gonna figure it out today.
    内容語に強勢(gonnaは軽く)。録音→波形で長短を確認。

4) フラップ確認(30秒)

  • a better city, a little water
    /t/ を軽いタップで。止めず、弾く。

5) イディオム口慣らし(30秒)

  • Let’s call it a day. / Hit the books tonight.
    塊でリズム良く。

つまずきポイントQ&A(超要約)

  • 「カタカナ通りに言ってるのに通じない」
    → カタカナは近似母音の長短・強勢位置・連結まで再現して初めて通じる。
  • 「早口で聞き取れない」
    → 速いのではなく弱化と連結で“別の音列”に変化。まず機能語を捨て耳で。
  • 「単語は知ってるのに読めない」
    子音連続綴り⇄音の乖離が原因。段階足し頻出綴り–音パターンで克服。

参考フレーズ(発音ガイド付き)

  • I’m gonna figure it out today.
     /ɑɪm ˈɡʌnə ˈfɪɡjər ɪt ˈaʊt təˈdeɪ/
     アイム ガナ フィギャリッ(ト) アウッ トゥデイ
     → gonna 弱く、figure it/rɪt/ が「リッ」に連結。
  • Could you put up with this noise?
     /kʊd ʒu pʊt ʌp wɪð ðɪs nɔɪz/
     クッ(ド)ジュ プッタップ ウィズ ディス ノイズ
     → Could you = クジュput‿up で子音連結。
  • Let’s call it a day.
     /lɛts kɔːl ɪɾ ə deɪ/(米)
     レツ コーリラ デイ
     → it a/ɾ ə/ で「リラ」風に。

ダウンロード用チェックリスト(学習計画に)

  • □ 毎日ミニマルペア2組を録音→差が出ているか判定
  • リンキング10例を“息を止めない”で通す
  • gonna / wanna / gotta を含む文を意味ごとに強弱を付けて言う
  • フラップ単語(better / water / city / pretty)をタップ
  • イディオム3つを“状況セット”で記憶(例:別れ際=call it a day)

さいごに

英語を“日本語の延長”として処理しようとすると、どこかで必ず詰まります。
音(リンキング・弱化・フラップ)語(イディオム・句動詞・省略形)文(強勢・語順)という制度をそのまま受け入れて練習すると、発音・聞き取り・表現が同時に伸びるのが英語の面白さ。この記事のミニ練習を毎日3分、まずは1週間試してみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました